ディケンジアン DVD-BOX企画 : トニー・ジョーダン製作 : トニー・ジョーダン出演 : タペンス・ミドルトン、ジョセフ・クイン、ピーター・ファース、ソフィー・ランドル、ベン・スター、ポーリーン・コリンズ形式 : Color, Dolby, Widescreenリージョンコード: リージョン2言語 : 英語字幕 : 英語,日本語ディスク枚数 : 10(全20話)【ストーリー】19世紀のロンドンに住んでいたディケンズは、産業革命によって郊外の人口が都市に集中し、それによって生まれた貧富の差や問題、激動する社会に渦巻く人間像を、文学の世界で描いたことで有名だ。このドラマは新しく執筆されたものだが、登場するディケンズのキャラクターや、その背景などが織り込まれた脚本だ。よくまあジグゾウ・パズルのようにここまでいろんな登場人物を噛み合わせたなあ、と関心させられる筋書きとなっている。勿論背景はロンドンの下町。ある日高利貸のジェイコブ・マーリー(『クリスマス・キャロル』)が港の近くの倉庫で殺される。その犯人をみつけるため、当時は真新しい職業であった刑事、インスペクター・バケット(『ブリーク・ハウス荒涼館』)が調査を開始するのだった。ここには勿論有名なマーリーの共同経営者、スクルージ(『クリスマス・キャロル』)や、フェイガン、ナンシー、オリバー、リトル・ティムなど(『オリバー・ツイスト』)が登場する。だがこのドラマは単なる探偵もの、で終わらないのだ。並行してビール製造業で富を成したハヴァシャム家の物語も登場する。父が突然他界し、アメリア・ハヴァシャム(『大いなる遺産』)は家や家業を相続することになる。腹違いの弟アーサーは、自分が相続すると思っていた全財産が姉に渡り、怒りと嫉妬から姉の財産を奪おうと決意する。陰謀をねりメリーウエザー・コンパソンという男と組んで、姉と策略結婚させ、財産を奪おうとするのだが・・・。更にバーバリー家(『ブリーク ハウス 荒涼館』)の物語も並行して展開する。全財産を間違って投資し、破産してしまったエドワード・バーバリー。彼には二人の娘がいる。二人の娘は容姿も性格も異なる。姉は婚約者から裏切られ心に傷を負っており、誰からも愛される妹に複雑な感情を抱いているのだった。破産によって投獄されてしまった父を救う為、姉は妹に婚約者との婚約を破棄させ、裕福な初老のデッドロック卿と結婚することを迫るのだ。しかし・・・ディケンズが200年前に生み出したキャラが、一つの町で出会い、様々な人間ドラマが交差する。当時の古いしきたりや慣習、貧困などによって自らを犠牲にしなければならない人たち、欲に目がくらみ犯罪を犯す人たち・・。メロドラマ風のシンプルな人間描写はとても分かりやすいし、おまけに犯罪ドラマとお家騒動ジャンルが合体、実にエンターテイメントな内容だ。分厚いディケンズの原作をいつかは読みたいが・・、と思っている人にぴったりのディケンズ文学のダイジェスト版だ。本作では純真で勤勉、女性の鏡のようなミス ハヴァシャムを演じる、トゥペンス・ミドルトン。